ソロキャン△

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 思い出せる記憶のかぎり、外で遊ぶよりも家のなかで遊ぶほうが好きな子供でした。
 あやとりをしたり、絵を描いたり、本を読んだり…典型的なインドア志向の性格がずっと続いていたので、これから先もそうあるのだろうとなんとなく思っていました。

 

 4月のはじめ、キャンプに行ってきました。

 

 まさかアウトドアをする日が人生にやってくるなんて。昔の私に聞いても信じてもらえず、怪訝そうな顔をされるだけでしょう。動くと暑いし疲れるし面倒くさいし、虫もたくさんいるし何が楽しいの?って。

 

 でも、現実にキャンプに行ったのです。

 

 ひとりで。

 

 キャンプに興味をもったのは、2018年のアニメ「ゆるキャン△」を見たことがきっかけです。作品内で描かれているキャンプは、私の知らない世界でした。登場する志摩リンちゃんの姿に惹かれて「いつかソロキャンしてみたい!」というのが夢になり目標となり、数回のグルキャン経験を経て、やっと決行したのです。

 

 人生初・ソロキャンプ!

 

 お世話になったのは、千葉県にある「大多喜SABOキャンプ場」。東京から高速バスで約90分、最寄りバス停のある道の駅から徒歩10分ほど。街道脇の畦道を通り抜けると、田んぼに囲まれた竹林が出迎えてくれます。

 

竹垣と道
キャンプ場の周囲を囲む竹垣

 

 キャンプ場にはいろいろなスタイルがありますが、こちらは区画サイト(予約時にエリアを指定するタイプ)のキャンプ場。雰囲気のある竹林にかこまれたウッドデッキ区画を選択しました。

 

 設営中、風が強くなってきて、何度かテントが飛ばされそうになりますが、ひとりひきりでやりきらなければなりません。めげてるヒマはない。何とかテントを張って、シュラフ(寝袋)を出して、焚火台を組み立てて…設営するだけでぐったりと疲れます。

 

 四苦八苦してようやく設営が完了すると、何だか山をひとつ越えたような、一人前になったような気分です。

 

 設営を終えたら、あとは何もすることがありません。

 

 鮭とばをつまみに缶ビールをちびちびと飲み、無為な時間を過ごします。ぼーっと空を見上げたり、遠くの里山を眺めたり。風の吹く音、蛙の合唱、さまざまな刺激が五感に伝わってきます。家では離さないスマホも、キャンプ場ではカメラを使う時くらいしか持ちません。

 

田んぼと里山
THE・のどか

 

 日が沈みきる前に、焚火にとりかかります。この日は本当に天気が良かったのですが、ただ、風だけが次第に強まっていきました。陣幕(焚火を風から守る大きな風防)なしの私には、風速3メートル未満の風でも脅威です。ごうごうと竹を揺らす風にあわせて、炎も右往左往します。危険を感じながらおこなう焚火に、楽しみは感じられません。
 焚火をそこそこに終え、結局、20時には就寝。

 

 できたこともできなかったこともあるけど、楽しいなあ。楽しかったなあ。

 

 人生初ソロキャンプの夜は、こうして更けていきました。

 

竹林と星空
テントから見上げた空がキレイでした

この記事を書いた人: ほたるいか